長渕剛ライブレポート (12月30日、鹿児島アリーナ)

 昨年、一二月三〇日、鹿児島アリーナにて、「TSUYOSHI NAGABUCHI WELCOM TO MY HOME TOWN PREMIUM LIVE」がひらかれた。長渕剛、故郷での年末ライブだ。会場は五七〇〇人満席。開演前から総立ちで、ツヨシコールがあがる。人数の倍以上にもおもえるようなすさまじい怒号だ。
 一八時一五分、開演。フッと会場の照明がきえたとおもったら、ステージにはりめぐらされた白いタレ幕に、過去のライブ映像がうつしだされた。桜島、そして富士山オールナイト。映像とともに、長渕からメッセージがおくられる。「父と母の幻影はまだ生きているか。変わらないものがここにある。故郷はいつもここにある。あの桜島はいまでも心のなかにあるか?」。大歓声があがるなか、こんどはタレ幕にスポットライトがあてられた。すると影絵のように、ギターをもった長渕がみえてきた。
 すかさず、長渕がさけぶ。「俺にとって鹿児島はいつもー、泣いてたー」。うおおお!!! そう、「いつかの少年」だ。もう歓声がなりやまない。その瞬間、タレ幕が切って落とされた。黒いバンダナにサングラス、そして白いロングコートの長渕があらわれた。そして、真っ赤な光に照らされながら、長渕が歌いあげるのだ。「俺の人生はどこからはじまり、いったいどこで終わってしまうんだろう。衝き動かされるあの時のまま、そういつかの少年みたいに」。長渕がうったえかけてくる。

 ライブの序盤、ド迫力だったのは三曲目、「Loser」だ。みんなの苦しい、悲しいきもちをドンッと噴きだすかのように、「この前、突っ立ったスカイツリーのてっぺんに登っても、故郷は見えねえ」と高く、高く歌いあげると、こんどは一転、なにかをブチ壊すかのように、ドスのきいた低い声で、「I’m a loser, I’m a loser, I’m a loser. I’m a loser!!」と叫んだ。長渕が天空にむかって拳をつきあげると、観客もいっしょに拳をあげる。東京に飼いならされるのは、まっぴらごめんだ。さんざんひとをコキつかっておいて、いざとなったらつかい捨てにする、あの大東京に拳をつきあげろ。したがわねえぞ、スカイツリー。だまされねえぞ、大東京。そんなつよいおもいが伝わってくる。
 会場中にものすごい熱気が充満していた。いたるところで、「今日はすごいぞ」という声がとびかっている。会場から「ツヨシー! ツヨシ―!」と声があがると、長渕が「あん?」とかえす。大爆笑だ。そして「今年一年の鬱憤をはらそう。腹から声をだそう。東京やどこそこに声がとどくように!」というと、七曲目、歌いはじめたのは「カラス」だ。
 「黒いカラスよ、お前は寂しくはないか。銭だ銭だと損か得かで日が暮れていく。俺たちは都会に群れをなすカラスだ。わけもないのに夕焼けみると、また泣けてくる」。悲しい、それでいて力強い歌声だ。

 さてライブは中盤、九曲目だ。長渕が会場にむかってはなしかける。「マイホームタウン、このうちに帰ってきたよ。六キロくらいしぼったぜ。みんなと勝負するの楽じゃねえもん」。そして、歌うようにしてしゃべるのだ。「ここはオレの生れた街。父が生きて、母が生きて、そしてそして、オレが生れたー、マイホームタウン」。亡き父、母のおもいでをかたり、それからやさしく、やさしく歌いはじめた。「もしももいちど会えるならば、父ちゃんに会いたい」。亡き父の思い出をうたった「鶴になった父ちゃん」だ。
 この歌がすばらしかった。正直、うまれてはじめて、こんなにキレイな歌をきいた。暗闇のなか、スポットライトに照らされた長渕が、すみきった声で「父ちゃん、キレイだな、一万五千羽の鶴の群れたちがシベリアから飛んできたよ。父ちゃん、キレイだな、雪降る空からいま天使のように一勢に舞い降りてくるよ」と歌うと、これにあわせて、「アアアー、アアアアー」と女性コーラスがかかった。このコーラスがまたすばらしくて、とてもすんだ歌声なのに、ものすごくパワフルなのだ。死んでいった者たちが、もういちど蘇えってくるような力だ。それこそ天から鶴になって舞い降りてくるかのような。そんな神秘的な力にいざなわれて、悔しいわけでも、悲しいわけでもないのに、なぜかしぜんと涙があふれてしまう。
 つづいて、長渕は亡き母の曲、「かあちゃんの歌」をうたった。ああ、これが故郷なんだ、故郷にもどるということなんだとおもわされた。いくら失敗してもかまわない、いつでもわたしをうけいれ、蘇らせてくれる、なんにでも、またなんにでもなれるよと、そんなふうにいざなってくれる故郷がだれにでもあるんだと。

 ライブも終盤。一五曲目。長渕のボルテージがいっきにあがる。とつぜん照明が真っ赤な血の色に染まったとおもったら、ピカピカッと点滅して、それにあわせてズドン、ズドンと、するどいドラムがうちならされた。そして、「オーオーオーオッ、オーオーオオッ、オーオーオーオッオッ」とパワフルなコーラスがかかった。キタアァッ、「桜島」だ!!! すさまじい熱気のなか、長渕が「ヤヤヤヤヤーッ」と気勢をあげると、観客全員が両手をあげて、ブンブンとゆれはじめる。もう真っ赤な炎がメラメラ、メラメラとゆれているかのようだ。そんななかで、長渕がうたう。「錦江湾に、陽が沈み、海が赤く血の色に燃えはじめる」。その声に尋常じゃないほどの気迫がこもっていた。それをさらにあおるかのように、重たいドラムがうちならされ、それをうけて長渕が「山よ、岩肌よ、ゴツゴツのおまえ、貴様に抱かれ俺はねむる、ウァァァァー!!! 燃えてあがるはオハラー桜島!!!」と叫ぶと、会場中の熱気が火山のように爆発する。燃やせ、燃やせ、燃やせ。観客もまた両手をブンブンとふって、その炎を燃やしていった。圧巻だ。
 つづいて、長渕が「ヘイヘイヘイ、いくぞー!」というと、うおおお、うおおおおおお、キタッ、キタアァッ!!! そう、伝説の名曲、「Captain of the ship」だ。きっと、おおくのひとがあの桜島オールナイトをおもいだしたにちがいない。でも、いつもとはすこし歌いかたがちがう。いまにも爆発しそうなその怒り、そのおもいをただ放出させるんじゃなくて、グッとおさえにおさえ、一言ひとこと、しずかにゆっくりと、しかし重たく心につきささるように歌うのだ。
 「ヨーソロー、ヨーソロー」。そのあと「進路は東へ」とは歌わない。どこへゆくのか、それは自分で考えろといっているかのようだ。いまはあたらしい朝日がのぼるのをまって、自分のゆく道をじっくりと考えろ! そう呼びかけるかのように、曲のさいご、長渕はこんなふうに叫んでいた。「オレたちの船をー、こげー!!!」。全身全霊、絶叫だ。一人ひとりのおもいを拳にかえて、天空にむかって全力でふりあげた。きもちはひとつだ。オレたちの船をこげ、いくぞ!
 こうして曲をおえると、長渕は「ありがとうー!」といって、ステージをさっていった。しかしまだ会場の熱気がさめやらない。それをみて、長渕がもどってきてくれた。「どうにかみんな、いい年がこせそうだね」。そういって歌ってくれたのは、往年の名曲、「シェリー」だ。長渕とギタリストのピーターが、ていねいにギターをあわせ、とろけるように曲を奏でていく。ほんとうに美しかった。これでステージをあとにした長渕だったが、まだまだと会場からはツヨシコールがなりやまない。それをみて、なんと、もういちどだけ長渕がもどってきてくれた。歌ってくれたのは「巡恋歌」。みんなで心ゆくまで歌った。会場にいるみんなが幸せなきもちになっているのがわかった。人生最高のライブだ、人生最高の年末だ。ありがとう、ツヨシ! 二〇時四〇分、こうして鹿児島アリーナ、年末ライブは幕をとじた。

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