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2007 TSUYOSHI NAGABUCHI ARENA TOUR [ Comeon Standup!]
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2007 TSUYOSHI NAGABUCHI ARENA TOUR [ Comeon Standup!] TOUR INFORMATION

【日本ガイシホール レポート Vol.1】

 今、今、今たった今!終わった!!
只今9時45分!
人の波を掻き分け、掻き分けやっと出てきたばかりだが、まだガイシホールからは真っ赤な炎があがっている!剛と観客との恐ろしき一体感…人はここまで一つに成れるのか!歌はここまで人を燃え上がらせることが出来るのか!そんな痛烈なパンチを見舞われたような恐ろしきライブだった!まだ身体中、湯気の上がった多くの人たちが会場に残っている!帰らない!客電が付き場内アナウンスが流れても帰らない!!放心状態で立ちつくす人たちからは感嘆の声が上がる!!
まさに真っ赤な血がどくどくと流れるような…生きるか死ぬかの決闘のようなライブ…それでいて熱い真っ赤な血は優しく温かい!!凍っていた身体を一瞬にして蘇らせる生きたライブ…そんな「誕生という息吹が湧き上がるような血の滴る壮絶なライブ」だった!!
剛の底力は半端じゃなかった!!

名古屋の底力も半端じゃなかった!!

 最後の最後に剛が放った矢のような言葉!

「この名古屋はツアーの中でも心の中に、ざっくりと刻み込まれた
ライブだった!!ほんとにありがとう〜〜〜〜っ!!!!」

 膝まづき両手でマイクを握りしめ、あらん限りの声を振り絞り絶叫した剛!
「心の中にざっくりと!」この言葉にすべてが凝縮されている!!
剛の胸にも今日来てくれたすべての人の胸にも、「ど真ん中に」切り込んだに違いない!
ライブは本当に生き物だ!生きているという感覚をライブ中,何度も味わった!!会場が一つになり、大きくうねる!8400人が一つになり、うねりの波が岩にぶち当たる!
剛はこのまま死んでしまうのではないかと思ったほど歌い!狂い!

観客はこのまま死んでもいいと思うほど歌い!狂った!

 『明日に向かって』『泣いてチンピラ』から『桜島』へと。
ホール全体の密閉した空気に何か巨大な力で圧力をかけその圧縮した空気が一気に爆発したような…いや…煮えたぎるマグマが岩盤を突き破って一挙に噴き出たような…そんな感覚に見舞われ目まいがした!これは剛とオーデイエンスが共に作り上げた空間だ!!
まさしく「俺とお前」が創り上げた「命の空間」だ!
3時間!肉体が唸り!声がちぎれ!絶叫が断末魔のごとく響き!腕は振り切られ!両の拳は宙を舞った!
巨大な空間が血しぶきを上げ、高らかに今!命の産声(うぶごえ)を上げた…そんな壮絶なライブだった!
帰れるわけがない!
歌は喜びを倍にし、悲しみを半分にする!
歌は力なり!
長渕剛という人間と長渕剛を支えるスタッフと長渕剛を心から愛してるファンの皆に心から敬服した!
名古屋!バンザイ!人間!万歳!!

「みんなで作った『命』を明日の力に変えろよ!」

剛の声が聞こえてきたような気がした!

 …涙がとまらない。
人間と人間の絆は、こうも壮絶なほどに深く強いのか!
今日の誰もが『生きててよかった!生まれてよかった!』そう確信したにちがいない。
キラキラ輝く若い女性の何と多かったこの会場で…
そして野太い男たちの何と多いこの会場で…
剛と腹から叫び、泣きじゃくった。
拍手はやまず約束どおり剛は客に命をあずけ、遂に声帯を切った。
壮絶なライブに8400人の全てが長渕剛という男に、いや、今、一番必要な男気に心を掴まれたのだ。

「今日はさらに凄かった。名古屋、最高の客だったな!…次は岡山だな」

ポツリと楽屋までの長い廊下、笑顔で…言った。

【日本ガイシホール レポート Vol.2】

(文/東京中日スポーツ 記者・江川悠)

リーグチャンピオンの巨人を破って中日ドラゴンズが日本シリーズへ進出し、大いに盛り上がる僕らの故郷に、剛が感動と興奮を届けにやってきてくれた。そう、日本シリーズどころか、ワールドシリーズ並みのRockショーだ。

 日本ガイシホールの最寄り駅のJR笠寺駅を降り立った瞬間、アコギの音とともにあちらこちらから『とんぼ』や『乾杯』そして『しあわせになろうよ』の大合唱が聞こえてきた。すでに“ライブ”は始まっているのだ。
男たちの歌声は、肌寒ささえも吹き飛ばしてしまうほど名古屋の夜空に熱く響いていた。
「野郎ども、待たせたな!」
そんな長渕の声が聞こえてくるようだ。男性ファンばかりではない。
周囲を見渡すと、女子高生は勿論、会社を早退してきたと思われる女性グループの姿も。

 女性限定LIVEが大きな意味持った現実を目の当たりにした気がした。

 序盤から地鳴りのようなツヨシコールが鳴り響く。
左に揺れて、右に揺れて。とってもきれいだ。この一体感は何なのだろう。
私が座ったアリーナ席からは、ステージ越しに反対側のアリーナ、スタンドに陣取ったファンが拳を突き上げている姿が見えた。
そうか、これだ! これこそが、センターステージの醍醐味なんだ。
ライブは演者だけが作り上げるものではない。ファン同士が作り上げる空気があってこそ、最高のRockショーができあがるのだ。

「今日はめちゃくちゃいくぞ!この体がぶっ壊れるまでやるからな!
俺の命、おまえらに預けたからな!」

 命を賭する者の覚悟のメッセージが響く。決してリップサービスなんかじゃない。それほどこの日の名古屋のファンの一体感はすさまじかった。

 ギター一本の弾き語りでは、即興で『GOOD−BYE青春』が飛び出した。 さらに、「めったにやらない曲だけど、やっちゃおうかな」と、『乾杯』を大合唱。
「うおー!どらうれしいがや!」
隣のブロックのファンが、名古屋弁丸出しで感激にひたる姿が印象的だった。
全力投球する人間同士の情熱と情熱のぶつかりあいが、ここまで剛を突き動かしたのだ。
その一方で、美しくも切ない旋律に乗せたラブソング『月がゆれる』や『くちづけ』では、水を打ったような静けさが会場を包む。鳥肌が立った。

ライブも佳境を迎えた頃、剛が照明スタッフに叫んだ。
「GO!」
その時流(とき)は来た。
静寂と緊張が支配する空間の中、剛が自ら手に取ったサーチライトが客席を照らし出す。

『神風特攻隊』の始まりだ。

私が取材した初日のさいたま公演にはなかった演出。
初めて観た私は、言葉にできないほどの衝撃を受けずにいられなかった。

鳴り響く空襲警報、そして玉砕の瞬間。玉音放送が戦争の終わりを告げる。
そして、まるで特攻隊員の魂が乗り移ったかのように、剛が涙ながらに叫ぶ。

「日本人の誰が、俺たちをあそこに突っ込ませたんだー!!」

 まるで一本の映画のようだった。映像がなくても十分だ。十分すぎる。
静まりかえった客席。8400人のファンひとりひとりの頭の中で、無益な戦争がもたらす悲惨な光景、そして現在(いま)を生きることの意味など、それぞれが思い描く物語が映像として流れていたに違いない。

 私は、9月27日にミャンマーで反政府デモを取材中、凶弾に倒れて帰らぬ人となったジャーナリストの長井健司さんの姿が思い浮かんだ。危険だと分かっていても、誰かがこの国の惨状を伝えなければならない−その使命感を最後まで全うした長井さん。同じジャーナリズムに生きる人間として、同じ日本人として口惜しい。僕たちは、長井さんがなぜ死ななければならなかったのかを考えなければならない。

「“平和な国だね”と友に語れば “堅い話はおよし”と誰もがすり抜けた」

 かつて剛が『JAPAN』でこう歌ったように、今「平和」そのものの意味を見つめ直す時期に来ているということを痛感させられた。
長渕剛が長渕剛でありつづける以上、長渕が歌わなければならない曲であり、長渕しか歌えない曲なのだ。ツアー中も常に進化を続けるステージで、スタッフやバンドメンバーとともに寝る時間も惜しんで完成させた演出。
「俺がやらねば誰がやる?」とばかりに、長渕剛もまた、自らの使命感を全うしようとしているようだった。

 「ツヨシ、ありがとう!」

 剛がステージを去った後も、ステージに向かって泣きながら絶叫する男性ファンの姿を見て、私は思った。現在(いま)を生きる一匹の歌侍は、最高のRockショーとともに、日本人として生まれた僕たちに、明日を信じるための「道標」を与えてくれたのだと。

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